メリットデメリット
インプラントのメリット
インプラント治療の強みは、義歯をしっかり固定できることです。インプラント治療では、残っている歯を削ったり、残っている歯に義歯を安定させるための装置を付けたりしません。残っている歯の負担が少ないをことも、インプラント治療の利点です。
- しっかりと強く咬める
- 自信を持って笑うことができる
- 左右でバランスよく咬める
- 取り外す面倒がない
- 食物をおいしく味わえる
- 自分の歯にかかる負担が減って長持ちする
- 歯ごたえある食物の食感が楽しめる
- 隣の歯を削る必要がない
- 発音が安定して会話を楽しめる
- インプラントはむし歯にならない
- 見映えよく仕上げることが可能
インプラントのデメリット
インプラント治療には、全身状態がよくないとうまくいかない、治療期間が長め、治療費が高額といった弱みがあります。インプラントは骨と強くつきますが、粘膜とはあまり強くつかないため、天然の歯に比べ感染に弱いことも欠点です。さらに、インプラントをしたい場所に骨が十分ないと、治療が難しくなることも欠点です。インプラントが抜けたり大きく壊れたりした時に、修理が難しいこともあります。
最近では10年間持ったインプラントが95%あったという報告(文献:Albrektsson T, Donos N:Implant survival and complications The Third EAO consensus conference 2012; COIR, 23(suppl6),63-65,2012.)もあります。しかし100%の成功ではありません。インプラントに取り付けたかぶせ物や入れ歯が壊れることもあります。いずれも治療が終ったあとのメインテナンスをしっかりしないと長持ちしません。
- 噛む感覚が自分の歯と違う
- 治療期間が比較的長い
- 状況により見た目がご自身の歯と異なることもある
- 食べ物が詰まりやすくなることがある
- 他の歯が抜けて義歯を入れる場合、インプラントに不用意にフックをかけるとインプラントにダメージが加わることがあるため、義歯のデザインが制限されることがある
- 外科処置に伴う痛み・腫れ・出血・併発症の可能性がある
- お手入れ次第で感染することがある
- 治療費が比較的高額
リスクファクター
注意すべき基礎疾患
このような患者にインプラント治療を行う場合には、埋入手術前に主治医に対診することが望ましく、かつ検査データ等を術者自身が確認する必要がある。また、基礎疾患があるにもかかわらず、治療を受けていない患者に関しては、基礎疾患の治療を優先させてからインプラント治療を行うべきである。さらに、患者自身も把握していない基礎疾患がある場合も想定し、自院あるいは内科等での血液検査を行うか、健康診断等でのデータを事前に確認することが必要である。
- 循環器疾患(虚血性心疾患、高血圧、先天性心疾患、感染性心内膜炎など)
- 呼吸器疾患(喫煙、気管支喘息、アスピリン喘息、慢性閉塞性換気障害など)
- 消化器疾患(肝機能障害、腎機能障害、胃・十二指腸潰瘍など)
- 代謝・内分泌系疾患(糖尿病、骨粗鬆症、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、副腎疾患など)
- 精神疾患(統合失調症、うつ病など)
- 脳血管障害(脳梗塞、脳出血など)
- 自己免疫疾患(関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなど)
- アレルギー性疾患(金属アレルギー、薬物アレルギー)
- 特殊感染症(HBV、HCV、HIV など)
- 投与薬剤による問題(ビスフォスフォネート系薬剤使用患者、ステロイド薬使用患者、抗血栓療法薬使用患者など)
- その他頭頸部癌既往のある患者や放射線治療既往のある患者。
歯周病
歯周病の既往がある者に対するインプラント治療は、既往がない者と比べてインプラントの残存率の低下やインプラント周囲のトラブルの発生率が高い。また、歯周病の治療後に残存した歯周ポケットの存在とインプラント治療後のトラブルとの関連が疑われる。歯周病に対する感受性が高い者(広汎型侵襲性歯周炎患者)では低い者(慢性歯周炎患者や非歯周炎患者)と比べてインプラントの残存率が低く、インプラント治療後のトラブルの発生頻度が高い。インプラント周囲のトラブルの発生には喫煙などの環境因子も影響する。